The first 193 lines.
(徳川(とくがわ)兵)火事だー! 火事だー!
(徳川兵)何者かが火をかけたぞ!
(徳川兵)急げ! 火を消せ! (徳川兵)おう
(徳川兵)火の手は あっちだ (徳川兵)行くぞ
(徳川兵たち)おう! (爆発音)
(徳川兵)何!?
(徳川兵)何奴だ!
(男)六欲天をご存じか?
天でありながら いまだ欲が生きる世界だ
(徳川兵)何! (男)第一天は四王天(しおうてん)
第二天は忉利天(とうりてん)
(徳川兵)貴様! (徳川兵)織田(おだ)の残党か!
(男)第三夜魔天(やまてん) 第四兜率天(とそつてん) 第五化楽天(けらくてん)
その最上天 第六天こそ他化自在天(たけじざいてん)
人の欲を自在にかなえる魔王が 棲(す)むという
この安土城(あづちじょう) 天守閣こそ第六天
人が最も天に近づいた場所だ
その価値も分からぬ貴様ら―
徳川の兵がいるべき所ではない!
(爆発音) (徳川兵たちの叫び声)
(徳川兵) 天守にまで火が回ったぞ!
(男)価値も知らぬ者に 蹂躙(じゅうりん)されるくらいならば―
落ちてしまうがいい
(徳川兵)貴様の仕業か!
(徳川兵)ええい やってしまえ! (徳川兵)おおー!
(徳川兵)貴様…
(徳川兵)うわっ
おのれ!
あ… ああ…
(男)これだ これこそが天魔(てんま)の鎧(よろい)
これで 今日から俺が…
いや 私こそが―
第六天魔王!
(雷鳴)
(天魔王)天の跡目を狙うは 浪速(なにわ)の猿か 駿府(すんぷ)のタヌキか
笑止!
人面獣心のやからが 身の程を知れ!
(天魔王)天は落ちても 天の意志は滅びはしない
いや より赤く 地獄の業火となって燃えさかる
この天魔王の手によってな
(天魔王)来い! 地をはう奸物(かんぶつ)どもよ!
髑髏城で待っている
(農民たちの悲鳴)
(爪月(そうげつ))必ず見つけだせ! ええい 捜せ!
(爪月)どけどけ!
我らは関東髑髏党 逆らう奴は容赦はしない
隠し立てする者は 一族郎党全てに累が及ぶぞ
(剣布(けんぷ))奴はいたかい? 爪月 (爪月)いや
この辺の村は 根こそぎ 調べてみたが どこにもいない
(農民)おらたちは そんな小僧のことなんか知らねえだ
だあー!
(剣布)目障りな連中だ
死にたくなければ とっとと うせな!
(農民たちの悲鳴)
(じん平(ぺい))ああっ うわあ!
うわっ ああっ
(剣布)これだけ捜して いないとは まずいね
(爪月)くっ… あの小僧 どこに隠れた!
(霧丸(きりまる))この野郎!
(霧丸) 俺1人に大騒ぎだな 髑髏党
(剣布)貴様 霧丸! (霧丸)ヘッ
(爪月)逃げられぬと悟って 姿を見せたか
冗談じゃねえ
この俺が ただ尻尾を巻いて 逃げ出したと思ってんのか?
(剣布)でなければ 何だというのだ
(霧丸)貴様ら髑髏党を ぶっ潰すためだよ
(爪月)ほう 小僧1人で何ができる?
(霧丸)ハッ 1人じゃねえ
この俺様にはな―
てめえらが目ん玉ひんむいて ひっくり返るような―
とんでもなく強(つえ)え味方が ついてんだ
先輩 お願いします
(兵庫(ひょうご))そのとおりだよ 髑髏党! (荒武者隊)おう!
この関東で好き勝手やろうたあ ふてえ根性だ
(荒武者隊)ふてえ野郎だ! (兵庫)あ そんな無法―
この俺たちが見逃すとでも思ったか (荒武者隊)思ったか!
(爪月)何だ? 貴様ら
(兵庫)あ 関東荒野に その名も… (兵庫たち)高い!
天 天 天下の… (兵庫)かぶき者
弱きを… (兵庫たち)助け!
強きを… (兵庫たち)くじく!
(兵庫)あっ (兵庫たち)関八州荒武者隊
あ よーく覚えて…
(一同)あっ おきやがれ
(兵庫)霧丸だったな (霧丸)はい
(兵庫)てめえの頼みは引き受けた
村を襲い 百姓どもを泣かせる髑髏党
前から気に入らなかったんだよ
(霧丸)見たか! この兵庫さんはな…
(兵庫)おう! (霧丸)一声かけりゃあ―
関東の荒くれ者たち 2000人が集まるって大物だ
てめえら髑髏党なんざな この関八州荒武者隊が―
ボコボコにしてやるぜ!
(兵庫)おう 立て (霧丸)はい
(兵庫)任しとけ
よーし お前たち
あっ やっちまえ!
(荒武者隊)おう!
(爪月)ああ? 刀も抜かずに この俺に勝とうというのか?
身の程知らずにも程がある!
やかましい
てめえらみてえな外道相手に―
刀抜くほど 落ちぶれちゃいねえんだよ
熱い思いをこの手に握り―
男の筋は げんこで通す
誰が呼んだか 抜かずの兵庫様だ
はあっ!
(爪月)うわっ (兵庫)あ どんなもんだい
(荒武者隊)兄貴! (兵庫)あれ お前たち?
クソ! (霧丸)まだ終わったわけじゃねえ
今 残りの仲間が襲いに来るぜ
ですよね 兵庫さん
(兵庫)え? (霧丸)えっ?
いやいや いやいや… 残りの仲間ですよ
関八州荒武者隊の2000人 (兵庫)それは―
来ないな (霧丸)何でだよ!
目標2000人!
今は ここにいるだけです (霧丸)ええ~
冗談じゃねえ そりゃ話が違う (鉄機兵たちの笑い声)
(剣布)かぶき者など しょせん この程度
頼った相手が悪かったようだね
霧丸! (霧丸)うるせえ
安心しろ ここで終わる俺たちじゃねえ
こんな時のために こっちにも軍師がいるんだよ
(荒武者隊)おお~ (渡京(ときょう))そのとおり
関八州荒武者隊一の切れ者
転ばぬ先の小田切(おだぎり)渡京 ここにあり
(兵庫)よーし 一発大逆転の秘策 頼んだぜ 渡京!
(荒武者隊)おお~ (渡京)任せてもらおうか
ハッハッハッハッハッ
霧丸 この籠を持て! (霧丸)はい
それを この おにぎり おにぎり おにぎりの上に仕掛けろ
(霧丸)はい (渡京)そこに―
腹をすかせた髑髏党が やってきたとする
“ああ おなかがすいたな どこかに食べ物はないかな”
“あっ こんな所に おにぎりが よし 食べちゃおーっと”
はあー! (霧丸)うわあっ 貴様 何をする!
(渡京)こいつは引き渡します 何とぞ 私に―
髑髏党 入党許可を願います
(兵庫)あれ? 渡京 てめえ 裏切ったか!
(渡京)フン! 転ばぬ先の小田切渡京をなめるなよ
転ばされる前に転ぶ 積極的に転びまくる
大切なのは己の命 そのためならば たとえ―
裏切り者とののしられようとも 痛くも かゆくもないわ!
不肖 小田切渡京 ふつつか者ですが よろしくお願いします
(爪月・剣布)おお… おう (霧丸)最低だな てめえ
ありがとう だったら あとは上がるだけだ
(霧丸)ふざけるな! (渡京)あっ
(霧丸)クソ んっ!
(剣布)はあっ! (兵庫)うわっ
(霧丸)あばよ! (剣布)逃げるか
逃げると こやつらの命はないよ (霧丸)そんな奴ら―
どうなろうと知ったこっちゃねえよ (兵庫たち)おい!
(霧丸)口ばっかり でけえこと言いやがってな
弱いから死ぬ 自業自得じゃねえか
あばよ! (兵庫たち)おい!
(捨之介(すてのすけ))いけねえな
ここで逃げちゃいけねえ (霧丸)んだと!
(捨之介)お前が頼んで 戦ってくれたんだ
それを簡単に見捨てて 自分だけが逃げるつもりか?
(霧丸)うるせえな 弱い奴らに かまってる暇はねえんだよ!
(捨之介)まあ 待てって
あいつらが ほんとに弱いかどうか その目で しっかり確かめな
(兵庫)なめんな!
お前たち 気合い入れろ (荒武者隊)おおー!
(爪月)貴様ら! (捨之介)ほーらな
(兵庫)なめてもらっちゃ困るな
この関東の筋は俺たちが通す (荒武者隊)おう!
(剣布)生意気な!
何だ 貴様! (捨之介)いい天気だな
見ろよ この空を
こんな日に わざわざ 雨を降らすのは―
やぼだとは思わねえか?
(剣布)雨だと? (捨之介)ああ
あんたら さっきから 無用な 血の雨を降らそうとしてるだろ
(爪月)なるほどな その雨なら大好きだ
余計な口を挟むなら 貴様の血も降らしてやろうか
(捨之介)そうはいかねえ
そっちが血の雨を 降らそうとしても こっちには―
傘ってもんがある
(爪月)傘だと? そんなものが何の役に立つ!
(捨之介) まっ このぐらいの役には立つさ
(爪月)こざかしいまねを! (剣布)食らえ!
おっと (剣布)あっ
うう… ああっ
(爪月)うわあっ
貴様 何者だ?
(捨之介)俺か? 俺の名前は捨之介
弱い者が流す血の雨や涙雨に 傘を差し出す男だよ
(爪月)生意気な口をたたきおって
(剣布)髑髏党を敵に回して 無事で済むと思うなよ
(爪月)覚えておけよ 捨之介
(剣布)皆の者 ひけ! ひけー!
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